ポケモン金銀の面白さを14要素に分解して、自作RPGを監査した話
収集RPG「四十秒のオリ図鑑」を作っている途中で、手が止まった時期がありました。機能は足しているのに、遊んでいて何かが薄い。そこで一度コードを閉じて、原点に戻ることにしました。ポケモン金銀は、いままで遊んだ中でいちばん好きなゲームです。自作が目指している遊びもここにある。その面白さを要素分解して、自作に何があって何が無いかを監査してみました。
14要素に分解する
金銀を「なぜ面白かったか」で思い出しながら、要素を14個に割りました。◎=移植できている、○=形はある、△=形だけ、✕=無い、の4段階で自作を採点した表がこれです。
| 金銀の面白さ | 判定 | 自作のいま |
|---|---|---|
| 図鑑を埋める収集欲 | ◎ | 場所×時間帯・雨・曜日 |
| 時間の実在感 | ◎ | 本作の核 |
| タイプ相性 | ○ | 朝昼夕夜の4すくみ |
| 進化の見た目 | △ | 絵が変わらない |
| 色違い | ◎ | 5%で光る個体 |
| ライバルと人間ドラマ | ◎ | 再戦・ギフト・幼なじみ |
| クリア後の第2地方 | ◎ | 隣町とクリア後の章 |
| ご褒美の階段 | ○ | 称号6段階・上限解放 |
| 鳴き声 | ✕ | 全種おなじ音 |
| ボールの駆け引き | △ | 捕獲手段が1種類 |
| 隠しアイテム | △ | 拾い物が無い |
| タマゴとそだて屋 | △ | かさねが別解 |
| 通信交換・対戦 | ✕ | 原理的に無理 |
| 街ごとの曲 | ◎ | 場面別15曲 |
採点してみて分かったこと
まず、◎が6つもあったのは意外でした。手応えの薄さの正体は「全部が中途半端」ではなく、△と✕の少数の穴だったわけです。監査の効能はここで、直感の「何かが薄い」を、直せる単位に変換してくれます。
そして穴の中身を見ると、共通点がありました。鳴き声、進化の見た目、拾い物——どれもゲームの数値に関係ない要素です。攻略には1ミリも影響しないのに、モンスターを「データ」ではなく「生き物」に見せていたのは、実はこの層でした。機能を優先して作っていると、真っ先に後回しにする層でもあります。
技を選ぶ楽しさが抜けていた
この表を見ながら人と話していて、もうひとつ大きな抜けに気づきました。3行目の「タイプ相性」に隠れていましたが、金銀の育成の楽しさの半分はどの技を残すかです。4枠しかないから捨てる判断が生まれ、捨てる判断がその子の「型」になる。
当時の自作は、技が全種共通の通常攻撃と種固有の切り札の2つだけ。選ぶ余地がゼロでした。そこで種ごとの習得表と装備4枠制を後から入れました。確定クリティカル、攻撃して入れ替わる技、相手を倒さない「てかげん」。てかげんはみねうち枠で、捕獲ゲーには効きます。
監査のすすめ
「好きなゲームみたいなものを作りたい」で作り始めると、好きだった部分の記憶が濃いところから実装していきます。それ自体は自然ですが、好きだった理由の全体像は、分解して表にしないと見えません。14行の表を書くのにかかったのは30分です。数週間の実装の方向を決めた30分としては、破格に安い買い物でした。
ちなみに✕のうち「鳴き声」はまだ宿題のままです。効果音は波形生成で作れる目処があるので、この表のいちばん上の宿題として残してあります。