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レベル上限を物語に連動させるなら、敵のレベルも物語に合わせる

四十秒のオリ図鑑

『四十秒のオリ図鑑』は、町にひそむ不思議な生きもの「オリ」を集めて、図鑑を埋めていくRPGです。同じ月曜日が繰り返される町が舞台で、ボスにあたる「主(ぬし)」をしずめる(倒す)たびに、物語が先へ進みます。

このゲームのレベル上限は20で始まります。低すぎると思われるかもしれません。実際、意図的に低くしています。この上限は物語の節目でほどけていき、いまは55まで上がります。育成の天井を、物語が開けていく設計です。

この記事は8月18日に書いて、2か月寝かせてから出しています。前半は書いた時点の設計で、敵のレベルの決めかたは書いた日の夕方に作り替えました。何を変えて、そこから何が分かったかは後半に書きます。

収集ゲームなのに、レベル上げで時間が過ぎていく

作りたかったのは集めるゲームです。ところがRPGの文法で作ると、プレイヤーは自然に「一番強い1体を育てて突破する」に流れます。レベル上げに時間を取られて、捕まえる時間が減りはじめたら、このゲームは負けです。

だから天井を低くしました。上限の20で強さに詰まったら、残っている伸びしろは「もっと集める」のほうにしか無いようにしてあります。タイプ相性の合う種を探すか、同じ種をもう一度捕まえて「かさね」を増やし、能力を上げるかです。

最初は、野生のレベルを手持ちに合わせていた

書いた時点では、野生のオリのレベルを手持ちの平均レベルの少し下(-3〜-1)に合わせていました。同じ月曜日を何十周も探索してから来た人にも、駆け抜けてきた人にも、だいたい適正になるからです。育てすぎても世界を追い越さず、育てなくても置いていかれません。

敵が合わせてくるなら育てる意味が無いので、意味はレベルそのものに持たせました。種ごとの必殺技にあたる「切り札」はLv7で覚え、ほかの技はLv12・18・26で増えていく。レベルを、強さの数字というより、できることが増える節目にしたつもりでした。

上限は物語が解く

上限を、アイテムでも課金でもなく物語の節目でほどくようにしたのは、この町の設定がループものだからです。閉じた月曜日をひとつ攻略するたび、世界が少し先へ進み、オリたちの育つ余地も広がる。仕様と物語の意味が重なる場所に置けるなら、置いたほうがいい。

当時の階段は20→30→40でした。上限で止まったら、伸びしろは「集めてかさねる」のほうへ向かう、というつくりです。

あとから足した安全弁

ひとつ白状すると、この設計には見落としがありました。あとから捕まえた低レベルの子を育てる手段が「弱いまま前に出す」しかなく、遊んでいて自分でつらくなったのです。戦っていない手持ちにも経験値を半分配る方式を、後から入れました。連れ歩くだけで追いつくので、新入りをすぐ試せます。低い上限は、追いつきやすさとセットで初めて機能する。これは実装してみるまで気づけませんでした。

後日談: 敵のレベルを、物語に合わせ直した

この記事を書いた日の夕方、野生のレベルを手持ちに合わせるのをやめました。いまは物語の進み具合で、出てくるレベルの幅が決まっています。始めたばかりのころは3〜6、最初の主をしずめたあとは13〜20、最終マップが開くと46〜54です。手持ちが強くても弱くても、同じ場面なら同じ幅で出てきます。

変えたのは、物語と合わなかったからです。物語が進んで、となり町というエリアに行けるようになっても、出てくる敵の強さは手持ち次第で、前の町と変わりません。町が先へ進んだことが、敵の手ごたえに出てこない。上限は物語に合わせてほどけるのに、敵だけが物語を見ていませんでした。かわりに、駆け抜けてきた人に敵が合わせてくれることは無くなりました。

作り替えてからは、育てた分がそのまま野生との差になります。レベルの幅は手持ちを見ないからです。野生をどこまで引き離せるかは、上限で決まります。翌日には、主のレベルも固定にしました。町ごとの主に初めて挑むとき、主はそのときの上限のちょうど2つ上にいます。最初の主は上限20に対してLv22、次は30に対して32、その次は40に対して42。上限いっぱいまで育てても、レベルでは主に届きません。その差を埋めるのが、相性とかさねです。

上限の階段も、同じ日に伸ばしました。物語の後半に3つのエリアが開くたびに、45・50・55とほどけます。いまは6段です。

技の覚えかたも変わりました。いまは種ごとに4つあり、育ちの早い種はLv8から、遅い種はLv52までのあいだで覚えます。レベルを節目にする考えは残っていて、節目の位置が種ごとに違います。

上限を物語に連動させるなら、敵も物語に合わせる

天井を物語の節目に置くと、プレイヤーの強さの上限は物語の進み具合で決まります。そのとき敵のほうが手持ちに合わせて動くと、二つの基準が食い違います。上限は「町が先へ進んだ」と言っているのに、敵は手持ちに合わせて同じ強さで出てくる。プレイヤーが受け取るのは敵の手ごたえのほうなので、物語の節目が遊びの手ごたえに出てきません。

天井と敵のレベルは、同じものさしで決めると食い違いません。このゲームでは両方を物語に合わせ、主だけを上限の少し上に置きました。上限があるので、野生は追い越せても、初めて挑む主は追い越せない。その差が「集めてかさねる」理由になります。

上限を低くするなら、安全弁も最初から用意しておくとよいです。あとから仲間にした弱いキャラクターが前線に追いつける道が無いと、低い上限は「集めるほど損をする」仕組みに変わってしまいます。